1万人のデモを見た!「EU著作権指令」反対デモ|11条と13条について

先日、久しぶりにフランクフルトの中心街に行ってきました。

その日はたまたま、様々なデモが行われている日でした。

2種類のデモを初めて見て、衝撃的でした。

そんな私が見たデモがどんなデモだったのかを解説します。


2つのデモを書こうと思いましたが、長くなったので、1つのデモについてだけ紹介します。

もう一つのデモについては次の記事に書こうと思います。

著作権法の改正に対するデモ

3月26日、EUの欧州議会で著作権法の改正案が可決されました。

私がフランクフルトに遊びに行ったとき、ちょうどこの改正に反対する人たちのデモが行われていました。

年齢層は若者が多かった気がします。

ハウプトヴァッフェという駅の中にお面を被った人や、メッセージが書かれた段ボールを持つ人が10数人いて、駅を出ると別のグループが列を作って行進しているのを見ました。

EU著作権指令に反対す人々は、この法改正によって表現の自由が脅かされるのではないか、と懸念しています。

また、論争の的になっているのは著作権法の中の11条と13条です。

まず、11条と13条を説明する前に、EU法について簡単に説明します。

EU(欧州連合)の法には全5つの規制があります。その中で「規則」と「指令」という言葉について説明します。

「規則」(Regulation)

EUの規則は、欧州連合の加盟国の法令を統一するために制定され、その国に直接の効力を持ち、

個々の国に効力をもたらすための国内法を必要としません。すべての国内法に優先します。

日本電気制御機器工業会のサイトより(wikiよりわかりやすかった)

「指令」(DIRECTIVE)

EUの指令は、含まれている目的が国内法に置き換えられたときにのみ各国に効力を持ちます。

EU加盟国によって作成された(相互に束縛される)集団的決定であり、欧州閣僚理事会と欧州議会においてその国の閣僚により可決します。

なお、国内法への置き換えに際し、加盟国にはある一定の裁量権が与えられています。

そのため、すべての加盟国の法令が完全に同一になるわけではありません。

日本電気制御機器工業のサイトより

今回は「指令」です。


13条について

13条は、Youtube, Twitter, Facebookなどのテクノロジー企業が、著作権侵害しているコンテンツについて大きな責任を負うという内容です。

これによって、テクノロジー企業はコンテンツが著作権侵害している際に、著作権保有者のアーティストやジャーナリストに罰金を支払わなければいけません。

また、この条例が施行された場合、彼らはコンテンツが著作権侵害がないかを事前に見分けるフィルターをインストールする必要があります。

このフィルターを付けることによって、ちょっとでも著作権法に違反するとコンテンツを載せることができなくなります。

メリット・デメリット


この13条指令によってアーティストなどは公正に収入を得ることができます。

しかし、この著作権法が改正されると表現の自由が脅かされると懸念する人がいます。

表現の自由と密接に関係しているのが、meme(ミーム)というものです。


meme(ミーム)

海外では、このミームというものがよく使用されます。

ドラマやテレビ番組、または誰かが撮った写真がネット上で広まり、皆と気持ちを共有したりユーモアを表現したりする手段として使われています。

そして、このミームも著作権指令によって、使用できなくなると言われていて、多くの人が批判しています。

では具体的に、ミームとは何か。3つ例をご紹介します。

1.Today Is The Day

「浸水だ!!」「長い間この日を待ってたんだ」

このミームも、2つの画像でできています。上の絵は男性が外の様子を見て叫んでいます。下の写真は、男性が浸水した街で水上バイクに乗っています。

2つの画像と、コメントをつなげることでユニークなストーリーが作られています。
また、下の写真は誰かが撮ってネットにあげたものを、他の誰かがミームにしたのでしょう。

today-is-the-day_o_2640677.jpg

2.「アラームってどこのどいつだ!何で毎朝7時にあなたにメールするの!」

本当はそういってないけど、そう言ってるように見えてきます。

アラームに嫉妬する女性。。

IPPONグランプリの写真に合わせて一言のコーナーみたいな感じですね。

who-the-hell-popular-memes.jpg

3.GIF

GIFは、海外ではSNSで友達との会話に使われたりします。

以下のGIF画像は、テレビ番組の一場面でしょうか。

ミームは多くの人の生活の一部になっていますが、ドラマやアニメーション、バラエティ番組など、ほとんど著作権のある写真が使われています。13条では「著作権所有者に適切にお金が入るようにする」ためにテクノロジー企業は著作権所有者に罰金を支払う義務があります。

そのため、企業側は著作権侵害がないかフィルターをかけてこれらを制限していくため、結果的にどんどんミームがなくなるのではないかといった不安の声があります。

パロディ目的のミームは13条に抵触しない?

今回の採決の前に指令に加えられた修正では、「引用や批判、評価、風刺、パロディー、パスティーシュ(ある作品の主題などを模倣・借用した作品)といった目的の」ミームは第13条に抵触しないとされた。

BBC JAPANより

一方で、著作権に違反しているか見分けるフィルターは、パロディ目的のミームとそうではないものとの区別ができないのではないか、と主張する人もいます。

11条について

次に11条について説明しようと思います。

11条では、ニュースコンテンツを掲載するサーチエンジンやポータルサイトに対して、記事を作成した出版社などに「リンク税」を支払うことを義務付けます。

例えば、以下の画像で、ドイツのグーグルニュースは、BrexitのニュースについてWELTやBILD、Sueddeutsche Zeitungなどが書いた記事があるのが分かります。

Googleは、これらの出版社に使用料を支払わなければなりません。

Google News  より(4月5日19時現在)

Google News より(4月5日19時現在)

また、Facebookでは個人が簡単にニュース記事をシェアすることができます。例えばNew York Timesの記事を私が読んでシェアボタンを押すと、私のタイムラインにその記事のリンクが貼られます。すると、Facebookはその記事の使用料を支払わなければならないのです。

もし、この指令が施行されると、どうなるのでしょうか?

Googleはこの11条が施行された場合に、どういった検索結果の画面になるのかを実験したものがあります。

画像もニュースのタイトルや要約も見当たりません。

また、この指令によって、Googleなどは独自のニュースサイトを作る可能性も出てきます。

Googleより

Googleより


以上簡単ではありますが、著作権法の改正案の11条と13条について説明しました。

この著作権法改正案に対して、インターネットの世界をしっかり理解していない年代の人によって作成されていること自体に問題がある、と指摘する意見もあります。

しかし、もしかしたら改正案を作成した人も国民も、この法案についてしっかりと理解している人は少ないのかもしれません。

今回、反対派の旦那さんに11条や13条など分からない点など質問してみましたが、詳しいことは知らないと言っていて、驚きました。反対と言い張る根拠はどこから来ていたのかと、思いました。

私や旦那さん含め、世の中には実は今回の改正案をよく知らないけどなんとなく反対している人が多いんじゃないかと思いました。

まだまだ不明な点が多いと見受けられる法案が、これからの2年間でどう修正されていくか注目したいです。


個人的には、Youtubeでは特にドラマや映画など違法にアップロードされているのを見るので、EU以外でも著作権法の改正はこれから必要になってくるだろうと思います。

しかし、著作権法が曖昧な現状から、規制を加えることによって生まれる「表現の自由」問題。難しいです。


さて、次の記事では、私が見たもう一つのデモ、警察官が至る所に配置されていた「極右デモ」について書こうと思います。


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