ドイツの皮肉言葉「Gutmensch(良い人)」について|BLOGMAS DAY10

こんにちは。

今日はドイツの皮肉言葉「Gutmensch」について説明してみようと思います。

この言葉は、複雑で歴史や政治が絡んでくるみたいなので、ドイツ人も上手に説明することは困難だそうです。

だから、私も100%理解しているわけではないので、ウィキペディアとドイツ人アーティストのOK KIDの曲を参考にしながら書いてみます。

Gutemenschとは

日本語に訳すと「良い人」。Gutが「良い」という意味で、Menschは「人間」という意味です。しかし、皮肉で使う言葉なので、良い人そうに見えて実はそうじゃないという意味で使われます。「偽善者」と意味が似ているかもしれません。

Gutmenschという言葉はポリティカル・コレクトネスと関連していて、1990年代半ばごろから、軽蔑する言葉として使われるようになったそうです。

ポリティカル・コレクトネスとは?

ポリティカル・コレクトネスとは、日本語で政治的に正しい言葉遣いとも呼ばれる、政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていない言葉や用語のことで、容姿・身分・職業・性別・文化・人種・民族・信仰・思想・性癖・健康(障害)・年齢・婚姻状況などに基づく差別・偏見を防ぐ目的の表現を指す

ウィキペディアより)

つまり、差別的な言葉を正し、中立的な表現を使用しようという考え方です。例えば、日本ではポリティカル・コレクトネスの考え方により、「看護婦・看護士」という言葉を「看護師」という言葉に改められたり、「保母・保父」を「保育士」に改められたりしました。

ドイツでは最近、複数名詞についてポリティカル・コレクトネスの考えを取り入れるべきだと問題になっているそうです。

これを説明する為には、まずドイツ語の名詞について説明する必要があります。ドイツ語には、男性名詞と女性名詞、中性名詞があります。名詞によって、男性か女性か中性か分かれているのですが、職業については男性名詞と女性名詞が存在します。

「先生」という言葉を例にしてみましょう。先生にも、男の先生と、女の先生がいますね。ドイツ語では、男性の先生を、「Lehrer」、女性の先生を「Lehrerin」と言います。そして、複数形の「先生たち」と言いたいとき、男性名詞の「Lehrer」という言葉が使われます。これをポリティカル・コレクトネスと繋げて考える人々は、先生は男も女もいるのに、なんで男性名詞だけが使われるんだ!と批判するんだそうです。

Gutmenschとポリカル

ドイツでは、とりわけ難民問題にこの通称ポリカル(ポリティカル・コレクトネス)が使われることが多いそうです。

では、どういう風にポリカルとGutmenschが関係してくるのでしょうか。

ドイツでは、難民に対する考え方を「左翼」と「右翼」とで分けることができます。左翼は、ドイツが難民を受け入れ助けるべきだと考えている人たちです。一方右翼は、外国人、とりわけ難民はもう受け入れるべきではない、と考えている人たちです。

そして、このGutmenschと言われる人たちは、差別などせず難民を受け入れるべき!と考えているまたはそう振る舞っている左翼の人です。そして、左翼の人にGutmenschという人は、右翼の人に多いそうです。

ドイツ語の辞書Dudenは、Gutmenschを以下のように定義しています。

[naiver] Mensch, der sich in einer als unkritisch, übertrieben, nervtötend o. ä. empfundenen Weise im Sinne der Political Correctness verhält, sich für die Political Correctness einsetzt

日本語に意訳すると、

Gutmenschとは「ポリティカル・コレクトネスを主張しすぎて、周りから迷惑に思われる人のことである」

OK KID-Gute Menschen

Gute Menschenは、Gutmenschの複数形です。

このビデオでは、娘と彼氏の黒人の男性(とその他の黒人)以外はGutmenschです。

冒頭は、Gutmenschである父親が難民らしき黒人の男性にお金や服を寄付するシーンから始まります。

その時、娘とその黒人は恋に落ち後日、彼女はパーティーに彼を誘います。そして、二人がパーティーについた瞬間、彼女の家族はショックを隠せない様子で、子供たちは黒人の彼に向っておもちゃの鉄砲で攻撃をしたり、黒人の彼にだけビールが配られなかったり、差別を受けるシーンも見られます。

父親は、お金や服を寄付して一見、難民を助ける良い人に見えますが、自分のテリトリーに難民/外国人が入って来た瞬間いっぺんに態度を変えます。まさに表向きだけの「Gutmensch(良い人)」だったのです。

最後には、同じくGutmenschの息子が妹を殺して終わります。

この曲は歌詞もたくさんのメッセージが込められていて、その一部分が印象に残ったのでご紹介します。

Schwarz, Rot, Grün, alles wirkt braun meliert 

Geniusより)

「黒、赤、緑、全てが茶色に見える」という意味です。これらの色はドイツの政党を意味しています。

黒はメルケルの所属するCDU(ドイツキリスト教民主同盟)、赤はSPD(ドイツ社会民主党)、緑はdie Gruenen(緑の党)です。そして、茶色はナチス。つまり、どの政党もナチスと同じことをしているというメッセージです。正直、どういう部分がナチスに見えるのか私には理解できなかったので、旦那さんに聞いてみました。が、たぶん面倒くさくて詳しく教えてくれなかったので、今後明らかにしようと思います。

最後に

このGutmenschは去年知った言葉ですが、ちゃんと調べたのはこの記事を書こうと思ってからです。しかし、調べれば調べるほど、このトピックは複雑で私自身ちゃんと理解するまでに何年もかかりそうだと感じました。